うつ病になりました:日々雑感その1

「元気ですか?」と聞かれたら「元気です」と答えられなくなってしまいました。現在は医師の診断の下、自宅療養をしております。薬のおかげか、ある程度症状も安定し、ある程度自分自身をメタ認知できるようになったので、このことについて、執筆をしてみたいと思います。初めての経験なので、自分自身に何が起こっているのか理解ができませんでした。そんな中、厚生労働省が作成しているWebサイト「こころの耳」をみて、ほかの人の体験談を見ることを通じて、メンタル疾患に対する理解を深めることができました。これがある種の「救い」になったので、自分自身の経験を、同様の状況に置かれた人に対してもシェアすることができればその人にとっての「救い」になるかもしれない、そう思い、自分の経験を執筆することとします。

症状等の概要

「あれ、おかしいな」と思い始めたのは2021年の10月頭のころ。コロナ禍なのに、好きな観光の仕事ができることをに喜びを感じつつ、自分的には元気に仕事をしているところでした。そんな中、なぜか眠りが浅くなってしまい、十分な睡眠時間を確保しても、疲れがとれなくなっていました。睡眠負債がどんどん蓄積していった結果、「常に眠いんだけど寝れない」、おそらく睡眠不足からくる激しい頭痛が常に起こる状態となり、同時に食も細くなっていき、すなわち「寝れない」「食べれない」というあきらかにサスティナブルではない状況に陥りました。

「寝れれば回復する」と思った私は精神科を受診。「うつ状態ではない」とその時点では診断を受けたものの、抗うつ薬と睡眠薬を処方され、何とか寝れるようになりました。それで一度は元気になりました。「薬すげえなー」と思っていたのもつかの間。また寝れなくなってしまい、より強い薬を処方され、また寝れるようになる。しかし、それもつかの間。また寝れなくなってしまい、同時に食がかなり細くなってしまい、うつ病であると診断されました。医師と相談した結果、休職をするという判断に至りました。

現在の症状

実家で安静にしていることもあり、食欲は復活。しかし、睡眠のほうは、それなりの量の睡眠薬を飲んでいるにもかかわらず、十分にとれない状態が続いています。決まった時間になったら布団に入り、決まった時間に朝起きるのだが、ものすごく眠い。多分、睡眠薬を飲んでも睡眠の質が低いんだと思う。その結果、午前中はぼけっと過ごさざるをえず、昼間もちょこちょこ寝ることで、なんとか1日に必要な睡眠量の確保をしている、そんな感じなんだと思います。

病気になって何を思うか

1番思うことは、「うつ病」ってなってみないと本当にそのことについてわからないな、ということです。自分の身近な人間でもメンタル疾患を患ってしまった人が相当数います。自分の友達の1人は、おそらくメンタル疾患が原因で、自殺しています。そうなってしまった人のリアリティは、自分自身で経験しないと本当にわからないものでした。「寝る」とか「食べる」とか生きるうえで絶対に必要な基本的行動のコントロールができなくなってしまう。本当に恐ろしいことだなと、患ってみてはじめてわかりました。

それと、判断・思考・読解能力の欠如を痛感しています。私は文系大学院を卒業しているので、堅苦しい論文だとかを、それなりのスピードで読む能力を身につけているはずなのですが、それができなくなってしまいました。何度も同じところを読みなおしたり、声にだして読んでも頭に入ってこなかったりする。「そこまで難しい文章じゃないんだけどなー」と思いながらも、読解能力がおちた自分を優しく受け入れながら、書物に触れる日々を過ごしています(仕事してたときは忙しくて書物を読む暇がなく、読みたいものがたまりまくっているため)。

おわりに

私はメンタルの病にかからないと勝手に思い込んでいました。なぜなら、学生時代には元気に世界中を文字通り飛び回り、大学院生時代は寝ずに50時間研究したりしていましたので、それなりに耐性はあるものと思っていました。しかし、現実がその認識は間違いであることを証明していまいました。

今回病気になったことで、自分の限界が知れたし、何をしたら自分が壊れるのか、なんとなくわかりました。それはよかったことなのかもしれません(代償がでかすぎますが)。自分の精神・身体は取替不能なので、じっくり自分自身と向き合いながら、まずは完治を目指してゆっくりしたいと思います(うつ病患者に対して「がんばれ」と言っちゃいけないこと、患うまで理解していませんでした)。