
私はホルンを吹き始めた高校生の時から大学生の時ぐらいまで、吹きはじめ20分ぐらいたつと、肺が小さくなって、息が入らなくなる感覚をともなって、すぐバテるみたいな症状をずっとひきずっていた。すなわち持続力がない、すぐバテる、高い音がでない、といった問題に直面していた。つまり、下手だったのである。しかし、ある時から、その症状がなくなった。早い話、吹き方を変えたのである。ここでは、全然ダメダメだった俺が、どのようにして少しだけ改善できたのかを、再発したときに備えることも含めて、書き記していきたい。
解決方法:ブレスの循環効率をよくした
高校生のときは、いっぱい吸ったりはいたりすることで肺活量がふえて、高い音も長い音もでるようになる、という「脳みそ筋肉」な発想をしていた。
それと同じように、高い音も、いっぱい吹きまくって、口の筋肉を養えば、でるようになる、と考えていた。
これらは、間違ってはいないと思う。が、全然あってない。
なぜなら、おじいちゃんホルン吹きの中には、健康な10代、20代のに比べたら筋肉量も肺活量も劣っているはずなのに、持続力もあって、高い音もパンパンふける人も普通に存在しており、「脳みそ筋肉」発想では説明ができないからだ。
そうなると、効率の良い息遣いをしているだとか、そういう形でしか説明ができない。
※もちろん、楽器演奏は、複合的な要素によって成立するものだから、「持久力」だとかそういう大きいテーマを1つの観点、要素からみることはもちろんできないが、本記事はそれを考えるための材料になるのではないかと思う。
問題・症状の整理

①吹き始め20分くらいから息が肺に入らなくなる。結果、ホルンに吹き込まれる息の量が減り、高い音は支えられなくなり、良い響きもえられなくなる。ちょっとしたパッセージはごまかしてふけるけど、一曲吹くのも辛かった。
②お腹がぐるぐるなるようになる。なんか、息が肺じゃなくて、おへそのあたりの、入っちゃいけないスペースに流れちゃってる感覚をえた(そんなことは物理的にありえないんだけど)。多分、体内に取り込まれた空気が、息をだすときにその全てが放出されずに、体内に残っちゃってた感覚をえた(あくまでも感覚の話であり、実際にそれが体内で起こり得るのかは専門家ではないのでわからない)。体内に取り残された余分な空気は、吹奏時には使えない息(ここでは仮に「デッドブレスドエアー(dead breathed air)」と命名しておこう)であったが、体内の限られたスペースを一部占有してしまったので、結果的に吹奏時に使うための空気の量が減ってしまってるように感じた。※これについて書かれた文章とかあればぜひ教えて下さい
③「デッドブレスドエアー」がたまにゲップとなり放出される。たまに肛門からも放出される。非常に不快であった(多分まわりはもっと不快であった)。
解決の方向性の検討
デッドブレスドエアーをなくせるように色々と学生時代試行錯誤したが、無理だった。結局なくならなかった。「息は吸うことよりも吐くことで多く吸える」というのは常識だが、意識的に吐く、だとか、お腹の動きを意識する、だとか、そういう一般的なことを意識しても解決できなかった。
でも、体内に入ってる息を活用できてないって、それ、効率が悪いってことはわかる。だってせっかく肺に取り組んだ空気を完全に放出できないって終わってるからね。
解決の方法
うまい人のとなりで吹く機会を得た
私はいろいろあって引っ越しを繰り返しており、千葉、東京、北海道、いろいろな場所でホルンを吹いていた。色々ご縁があって、うまいアマチュアやプロの方といった、上手い人の隣で吹く機会に恵まれた。当然一緒にアンサンブルをするわけだから、息づかいだとか、楽器の鳴らし方とか、その人に合わせなきゃいけないわけだが、それを意識してたら、自然と私の問題だらけだった呼吸方法も改善されていったように思える。では、どのような変化が生じたのか。それの言語化に努めたい。
仮説1:中途半端な知識が邪魔をしていたのではないか
昔は、ブレスを超計画的にとってた。「多くの息が必要だからいっぱい吸わなきゃ」という単純な発想。そのため、極端なことをいえば吐き出し3割、吸い込み7割だとかだったかも。あとお腹がふくらむはず、とか、そういう変な知識が邪魔したんじゃないか。
しかし、うまい人のとなりでふいてたとき、圧倒されてそんな計画的にできず、とにかく吹いてた。その結果、ブレスのことは何も考えずにやってたら、なんかうまくできるようになった。
何も考えないで吹くって、結構難しいことで、でもこれをすることで解決することもあるね。
いや、ちょっとまて。それいったら、このページを読んだ人たちは結局解決しないじゃん。そうですね。すいません。でも1ついうならば、「unlearn」することの大切さもあると思います。先輩とか、先生とか、本とかがいった知識をもとに実践してみて、効果なかったり、逆効果だったりしたときには、それをやらない。これってかなり合理的な練習方法の1つだと思います。
仮説2:「脳みそ筋肉」発想をやめ、自分の乏しい肺活量を受け入れた
肺は交換できない。横隔膜も交換できない。それに俺も20代後半だし、体育会系男子でもないので、肺活量の上昇ははっきりいって期待できない。つまり、諦めました。なので、現状の乏しい肺活量のなかでいかにふくか、に発想を切り替えました。
で、私より肺活量が少ないであろう、女性のプロの人がおっしゃってたことを思い出した。「男性に比べて肺活量が低いから、ブレスの頻度を高めるようにしているわ」という発言。
なるほど。ならば、俺も男だけど、肺活量少ないことを受け入れて、ブレスの頻度を高めようと思った。「お腹にしっかりいれる」とかそういう怪しい言説には惑わされないで、物理的にブレスの回数を高めて息の総量を増やす戦略です。うん小学生でもわかる戦略ですね。
結果として、多くの息を必要とする高い音の前には小賢しいまでにブレスをとるようになっちゃった。しかも、ある程度ごまかしながらうまくブレスをとれるようになった気がする(?)
仮説3:自分の乏しい肺活量のなかで、効率の良い高い音の出し方を体得した
高い音をだすには、息のスピードを早めることが大事。そうなると使う息の量も増えるよね。そうなると、息の量がたりなくて音をはずすのが今までの俺だった。
でももう一つ、高い音をだすために必要な要素。それは唇の緊張具合。私は高音をだすとき上側に動く人であることがわかったので、それを意識的に上にもってくことで、使用する息の量が減った。
使用する息の量が減っているのに、ちゃんと高音がでる。うん、素晴らしい。もっと早く知りたかった!!!!
このことについては、別の記事でまとめてますので、どうぞ
この記事、高音がバテずにガンガンだせるようになった。ってかいてあるけど、言い換えると、自分の力のなさを受け入れて、今あるリソースのなかでいかに高音が吹けているようにごまかすか、っていうことにもなると思う。
呼吸効率の向上
まぁ、時には諦めも肝心で、できない中でどのように対処するか、それが大事になるのかなと思いました。
まぁ、High Esを吹く時とかは、リップスラーでそのままあがれって言われてもなかなか難しかったりするので、音出す前にブレスして、口つくって、ぷふぁーって感じです。音それなりに綺麗だし、まぁなんとかごまかせてるかなって思う。
できない自分を受け入れよう。
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