論文書いて何がしたいの?

現代民俗学会の機関誌『現代民俗学研究』に拙稿「「脱日常化しない祭り」における日常と非日常――青森ねぶた祭に参加する「旅人跳人」の実践に着目して――」が掲載された。ねぶたの研究をはじめて、早5年。ようやく査読論文が完成した!重要なマイルストーンにようやく到達したっていう感じです。この記事では、論文で何を話したのかをカジュアルに説明したうえで、論文にのせるには不適当だけど、でも根幹部分を成すよねっていうところに触れたいと思います。

論文で何を言ったのか

私がずっとやっているねぶた祭の研究を、民俗学でウケるようにまとめなおしました。現代では、非日常の時間を創り出す装置である祭礼が機能不全を起こしていると言われている。つまり、お祭りの時間になっても、全然非日常の時間に移行できてないよね、ってこと。でも、そんな祭礼に参加する観光者の動きをみていると、がんばって非日常の時間を創り出そうとしているやん、ってことを論じました。

何が評価されたのか

結局、綿密に事例調査して、部外者であるはずの観光者が祭礼の重要な担い手になっていることを具体的に示したことが評価されたようだ。でも、査読論文である以上、なんらかの形で「学問」の発展に寄与しなければならない(=そうでないと「論文」として掲載されない)が、この研究はそれができたのだろうか。結論からいうと、あんまできなかったようだ(笑)。それでも、この研究によって、芦田徹郎先生の「脱日常化しない祭り」概念の更新をしたことが、評価され、「論文」として掲載されるに至ったのではないかと勝手に思っている。

外部参加者を受容するマインドを、地域社会で共有するために

私が論文を書く&ねぶたの研究をする理由に直結することを書きたいと思う。一言でそれらをいえば、ライダー/チャリダーの地位向上、部外者が祭に参加することで生まれる文化創造の促進、である。

1つめのライダー/チャリダーの地位の向上について述べる。基本的にカラスハネトと同一視されていたライダー/チャリダーは地域社会から煙たがられている存在であった。今でもナノカビになれば、どんちゃん騒ぎしちゃっているわけで、「排除」される要素を現在でも多分に持つ存在である。だからこそ、彼らがねぶた祭の運行に、如何に貢献しているかを示すことで、地域社会側から彼らの「生存権」を認めてもらえるようにしたかった。そうしないと、ねぶた祭におけるライダー/チャリダーの「生存権」が危ぶまれることになりかねない。

2つめの部外者が祭に参加することで生まれる文化創造の促進、である。基本的に祭や祭礼は身内でやるものであり、外部からの参加者により成立することを前提にして設計されていない。逆に言えば、そういう設計なので、イノベーションは起こりにくいのだ。しかし、青森ねぶた祭に参加するライダー/チャリダーの事例をみると、まさに部外者が祭の内部に潜り込み、独自の実践を勝手にやっちゃうことで、脱日常化しない祭の中に非日常を散発的に創り出すという、イノベーションがおきちゃってるといえる。

つまり、地域社会(=受け手側、ホスト社会)に対し、外部参加者の存在の意義を論文を通じて訴求していく(=価値づけをする)ことで、外部参加者フレンドリーな地域をつくり、もって、イノベーションが起こりやすい地域づくりをし、面白い観光文化がガンガン創造される世界を作りたい。それが、俺が論文を世に出す理由であり、ミッションである。

「観光文化」と「地域文化」の従属関係が逆転する

観光文化が地域文化を作っていく。そんなことが起こるんじゃないかと思う(いや、現に起きている。俺よりすごい先生方が数十年前から言い続けてる)。文化人類学者は、観光文化を「まがいものの文化」として捉え、嫌い続けてきた。つまり、観光文化は地域文化に従属すると考えられてきたのである。しかし、近年の観光化現象をみると、その従属関係が逆転しているとすら思う。たとえば、ねぶた祭の場合、跳人になる地元民がどんどん減少しており、「青森市民のねぶた離れ」が叫ばれているが、そんな中で、ライダー/チャリダーたちが、熱心にねぶたに参加し、好き勝手やっちゃった結果、特にナノカビにおいて、地元民より目立つようになってしまった。もはや、彼らの独特な振る舞い方(=観光文化)が、昔ながらの跳人文化(=地域文化)を上書きしようとしているとすら思える。

なぜそうなるのであろうか。理由は簡単である。ねぶたにかかわる地元民が減る中で、全国から集う、ねぶたに熱心に参加するライダー/チャリダーが毎年安定して存在しているからだ。惰性的に参加する地元民と、ライダー/チャリダーとでは、パワーが違う。馬力が違う。熱量が違う。思い入れが違う。もはや、彼らは「烏合の衆」といえるのだろうか。目的を同じにする共同体なんじゃないかとすら思えてくる(笑)

最後に

推敲をせずに、書きなぐってしまった。申し訳ない。本稿は論文ではないので、やや支離滅裂になったり、言いすぎてしまっても問題にはならないと思うので、このまま投稿します(笑)