【本能VS理性】理性は本能を管理下におくことができるのか
- 2022.10.19
- Opinion
不安や恐怖が生じるところ
不安、恐怖、ネガティブな思考により、生きていくなかで辛い時間が発生する。特に、うつ病、不安障害、パニック障害を抱える人にとっては、とても身近な問題であろう。
不安や恐怖、ネガティブな発想をもってしまうのは、人間の脳の中にある「扁桃体」と呼ばれるパーツの働くからだ。このパーツは生きていく上で危険だと感じたらすぐにNoをだし、行動を静止しようとする働きをする。たとえば、くまや蛇をみたら、「ドキっ」とし、すぐにその場から離れようとするが、それが扁桃体がもつ機能である。扁桃体は、論理的思考や理性的思考による判断より先に、人間が生命を維持するために必要な判断を、瞬時に下すのだ。
具体的な例をあげよう。たとえば蛇をみたら、すぐにドキっとする。その蛇が毒なしで、人間の生命を脅かす存在でないにしても、すぐに行動を起こさなければいけないと全身に信号が送られる。「この蛇は無毒だから大丈夫だ」というエビデンスベースドな判断を下す前に、ドキっとした本能に従おうと人間はする。
脳の活動のエラーとしてのうつ病
このように、扁桃体の働きは、人間に備わった生命維持の機能の1つといえ、なぜこの機能が人間に実装され続けているのかよく理解できる。しかし、扁桃体が高頻度で作動しつづけるような環境に身を置き続けると、エラーがおきる。そのエラーとは、私の場合はうつ病の発症であった。
まさに、扁桃体が暴走したのだ。些細なことやいつもなら「危険」と感じないことでも、つねに扁桃体が信号を出し続ける。辛い。辛い。悲しい。苦しい。
この暴走する扁桃体を、理性によって手懐けようとしている。理性を司る脳の部分は前頭分野といわれ、言語を用いたロジカルシンキングをする際によく活動するのだが、前頭分野による言語活動は、扁桃体の働きをおさえることができるという。つまり、本能にしたがって暴走を繰り返す扁桃体(本能的なはたらき)を、前頭前野の運用でおさえること、それを目指していきたい。
理性で本能を制御する
具体的にはどういうことか。何らかの不安や恐怖を感じたら、「あ、今は扁桃体がよく作動しているな」と一歩ひいたところで自身の思考をみつめる(=メタ認知する)。そして、「今この感情は本能によって生じているものだから、落ち着いてよく考えて善処しよう」と思う。こうして、本能的な働きを理性的働きによって制御することを目指しているのだ。脳のパーツでいえば、扁桃体と前頭分野の制御を試みているのだ。
思考は、それぞれの人体のパーツに影響を受けることをもっと自覚しよう
我々は、生物としての人間がどういう感情を生み出すのか、人体のどの部分が駆動し、ほかの部分よりも優位になっているのか、その部分はどういった働きをするのかについて、もっと自覚的になったほうが良いと思う。
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